日本遺産 日根荘 Japan Heritage Hinenosho

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日本遺産日根荘「日根荘大木の農村景観」(重要文化的景観)にて、大阪府内で初めてのニホンカモシカが確認されました。


 大阪府泉佐野市南部を占める重要文化的景観「日根荘大木の農村景観」では、古くから自然豊かな場所として、選定以降も自然環境調査を継続して進めてきました。また、大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センターも野生動物の保護管理のため、当地域で野生動物のモニタリング調査を行っています。
 令和4年4月8日に、犬鳴山付近の森林内で、国の特別天然記念物である二ホンカモシカが、大阪府内で初めて確認されました。


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ニホンカモシカ 文用 写真2.jpg

 ニホンカモシカ(Capricornis crispus)



・ウシ科カモシカ属に属する日本固有の哺乳類。
・1955年に国の特別天然記念物に指定された。
・近畿地方では京都府や滋賀県の北部、鈴鹿山脈、紀伊山地に分布する。
・成獣は雌雄を問わず縄張りを形成し、長期間にわたってそれを維持する。
・大半の個体は2、3歳程度の若いうちに親の行動圏から離れ、分散する。
・近年、これまでの分布域から周辺地域へと分布を拡大させる傾向が全国的にみられる。




 ニホンカモシカは、野生動物調査のために設置していた赤外線センサー付き自動撮影カメラで撮影された動画から確認されました。
 約2ヶ月間設置した2台のカメラで1度しか撮影されていないことから、まだ定着して縄張りをつくる前の、親の行動圏から分散途中の若い個体ではないかと考えられます。
 確認された個体は、最も距離の近い紀伊山地の個体群から分散してきた可能性が高いと考えられます(位置図参照)。紀伊山地の個体群は、環境省レッドリスト2020で「絶滅のおそれのある地域個体群」に指定されています。
 泉佐野市は、生物多様性センターと引き続き大阪府南部での野生動物調査を進めながら、得られた情報を行政機関と共有し、ニホンカモシカが誤って捕獲されないよう注意していく必要があります。
※これらの経緯については、大阪市立自然史博物館が編集する月刊誌「Nature Study」の8月号(68巻8号)に掲載予定です。





今回の確認地点と、周辺でのニホンカモシカの分布情報

※周辺での分布情報は、環境省自然環境局生物多様性センターによる「平成30年度(2018年度)中大型哺乳類分布調査 調査報告書」をもとに作成

確認地点 地図.jpg

【当該地域について】
 当該地域は国史跡「日根荘遺跡」に指定された歴史ある地域で、中世以来の伝統的な農村風景を受け継ぎ、自然豊かな地域であることが評価され、平成25年(2013)に「日根荘大木の農村景観」として大阪府内で初めて国の重要文化的景観に選定されました。人と自然が良好な関係を保ち、生物多様性のある環境を大阪公立大学と協力して調査・観察を行っています。
 また、府名勝「犬鳴山」、日本遺産「旅引付と二枚の絵図が伝えるまち-中世日根荘の風景-」及び「葛城修験-里人とともに守り伝える修験道はじまりの地-」にも含まれているなど、歴史的にも豊かな場所として知られています。





【お問い合わせ】
地方独立行政法人 大阪府立環境農林水産総合研究所(環農水研)
担当:生物多様性センター 幸田・石塚
電話:072-833-2770   FAX:072-831-0229

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