葛葉井の淵くずはいのふち
長滝と上之郷の中間に位し、水面約0.9a、深さ1mほどの遊水池である。古くから清水が湧き出て、約6haの水田を潤す中世由来のかんがい用水である。犬鳴山七宝瀧寺の塔の滝から葛葉を投げ入れたところこの淵に流れでたことから、地名の「長滝」の由来となったことが記される文書は「政基公旅引付」を記した九条政基によって筆写され、九条家文書に残る。
葛葉井の淵は、長滝(長滝庄)と上之郷(上郷)の境に位置する井戸で、2枚の荘園絵図にも記されています。
伝承によれば、昔、ある樵夫が家に帰る途中で犬鳴山の二ノ池(別名塔の池)の岩穴に葛葉を投入したところ、一昼夜後にこの清水に流れ出たため、「葛葉の清水」と名づけられたと言われています。
この話は「政基公旅引付」を書いた九条政基によって、文亀2年(1501)11月3日に写された「七宝瀧寺縁起」(九条家文書『図書寮叢刊伏見宮家九条家旧蔵諸事縁起集』)にも記録されています。
この伝承は『泉州志』にも残っており、古来の山と水の結びつきの観念や、この地を開拓し農業に従事してきた人々の信仰を反映しているとされています。