政基公旅引付まさもとこうたびひきつけ
戦国時代、日根荘の領主であった九条政基が長福寺に4年間滞在していた時に記した日記。村の生活や人びとの様子がいきいきと記されている。
戦国時代、日根荘は和泉両守護細川氏や地元の国人衆、根来寺などによる略奪が続いており、九条家への収益が途絶えるようになっていました。それを解決するために、文亀元年(1501)九条政基は日根荘へ下向し自ら直接支配を行いました。政基の直接支配は永正元年(1504)に帰京するまで続きましたが、その間に政基が残した日記が『政基公旅引付』です。
「甲乙丙丁戊」と五巻ある日記には、政基の日常だけでなく当時の日根荘の風習や暮らしが活き活きと描かれています。また、現存する寺社堂や日根荘の祭礼、人質事件、戦乱、水害・旱害、疫病、犯罪などの記述も残されており、地方に下向した貴族の暮らしだけでなく、16世紀初頭、戦国時代の地方社会の生活や風習、また和泉国を含む畿内の政治史を研究する上で大変史料的価値の高いものとして評価されています。