慈眼院こけら経じげんいんこけらきょう
奉納される長さ30cm、幅1cmの杉板片を円筒状に束ねたこけら経は鎌倉時代の民衆信仰を今に伝える。
こけら経は、「卒塔婆」「経木」などと呼ばれるもので、薄い木片に経文を写したものです。経典の中でも圧倒的に「法華経」が書写される例が多く、これは平安時代から貴族などを中心としてさかんに行われました。
現在、こけら経は全国で発掘調査や仏像の胎内から発見されることが多く、そのほとんどが束がはずれてバラバラの状態で見つかり、元の状態を止めていませんが、慈眼院のこけら経については束でまとまった形で見つかっています。
このこけら経は、経木1枚1枚の幅が狭く、割矧いで制作し、その両面に経文が書いてあることから見て、鎌倉時代のものと考えられます。