火走神社摂社幸神社本殿ひばしりじんじゃせっしゃみゆきじんじゃほんでん
日根荘入山田村の総社である火走神社の摂社で、室町後期に造営された社殿がいまも継承されている。
「延喜式神名帳」に記される式内社で、滝宮(滝大明神)と呼ばれ、入山田4か村の鎮守(総社)でした。『政基公旅引付』によると、滝宮では盂蘭盆の風流念仏、雨喜の風流、祭礼、猿楽、田楽が催され、村評定(寄合)や湯起請(神判)の場でもありました。鳥居前は府道(粉河街道)に面し、裏山は「宮山」といい、境内の背後には大木でもっとも重要な大井水路が通っています。
拝殿中央に火走神社本殿、左側に摂社春日神社、右側に摂社幸神社が一列に並び鎮座しています。幸神社は内部に永正5(1508)年の墨書があり、木鼻や蟇股などの彫刻様式から室町時代の建物と考えられ、国指定重要文化財になっています。本殿も擬宝珠柱銘から元和8(1622)年の建立で、市指定有形文化財です。当社には「入山田庄」銘の弘化4(1847)年の湯釜や「大木村絵図」などが伝来しています。また境内には「泉州日根郡入山田庄」銘の入った正保5(1648)年の石灯籠が残っています。
近世では天保14(1843)年の和泉国寺社覚には滝音寺と多くの摂社が存在し、「大木村絵図」では「大木土丸氏神」とあります。滝音寺の建物は昭和戦後まで残り、小学校として利用されました。
現在も大木(上大木・中大木・下大木)の宮座が置かれ、大木担いダンジリが入り、11月にホタキ(おふたき・おしたき)神事が行われています。