慈眼院大日如来坐像じげんいんだいにちにょらいざぞう
平安時代末期、貴族の美意識にかなった彫刻様式である藤原流の系統をもつ優美な彫刻。
慈眼院多宝塔内に安置される本尊で、像高約70cmの寄木造、漆箔仕上げ、彫眼の大日如来です。漆箔によって損なわれていた浅い彫り、少ない衣文線、丸い顔など藤原彫刻(定朝様)の優美な姿が、平成2(1990)年の修理で再現されました。
頭体の奥行が浅く、両肩を矧ぎ付けているところは、平安時代末期の制作技術を表しており、当時は仏師がまだ職業的に確立していない時代だったため、試行錯誤の上完成された様子が映し出されています。